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CM分離発注とは

建築家の設計で家を建てるほとんどの場合、建て主は建設会社や工務店1社に工事を依頼し、工事請負契約を結びます。家を建てるには、多くの職種の専門業者、例えば大工さん、電気屋さん、水道屋さん、左官屋さんなどの技術が必要なのですが、請け負った建設会社は、その業者さんたちに専門工事を依頼をし、進めていくことになります。

CM分離発注方式はどうかというと、建て主は建設会社1社に依頼せず、各専門業者さん、大工さん、電気屋さん、水道屋さんなどに直接依頼をし、工事請負契約を結び建築家がそれをサポートして進めていく方法です。

実は、昔このような方法は、田舎の方でわりとよく行われていたようで、建て主が大工さんや左官屋さん、屋根屋さんに声を掛け、知らない業者さんは大工さんに紹介してもらったりして家を建てていました。 今と比べて職人さんの種類も少なく、工期をもあり、家の作りもシンプルだったので可能だったのかもしれません。

なぜ、CM分離発注方式・・・・メリット・デメリット

業者さんをわざわざ、ばらばらで探してきて、依頼するわけですから、建て主としては1社に一括依頼して、すべてをやってもらうことと比べて、その大変さは比べ物にならないことは、すぐに想像できると思います。

ましてや、昨今の求められる住宅は構造や設備、仕上げ材料まで、その多様化はとどまることはありませんので、なおのことです。

その為、多くの場合、1社の建設会社(元請会社)に一括依頼し、工事を取りまとめてもらうことになるのが至極、自然のことだと思います。

しかし、建設会社は工事全体を取りまとめる対価として、一般的には工事金額の2割から3割の経費、利益をのせる必要がありますが、それをそのまま見積書に載せると高く感じるため(儲けすぎと思われないため)、様々なものに少しずつ乗せられていて、本当に専門業者がかかったコストが見えなくなってしまっています。

分離発注の場合どうかというと、専門工事業者のコストが、そのまま施工費ととなるので、透明性が確保できます。同時に元請会社の経費や利益といった間接的な費用を削減でき、他の直接工事費に充当することが可能で、その為、質の高い建築とすることができます。

また、専門業者を比較することで競争機会の拡大によるコストの縮減の可能性も生まれます。これが分離発注の大きなメリットです。
他にも直接専門業者と契約することで、建物の思いを直接、作り手に伝えることができ、理想に近づけることができるのもメリットの 一つです。

逆にデメリットとしては、前述のように業者選定の手間・発注業務量の増加、元請業者がいないわけですから、工事業者間の 調整やその為の資料や図面が必要になり、設計者の業務量の増加につながります。

また、建て主は建築中の想定外のリスク(災害や盗難、事故)にも備える必要がでてきます。

CMrとしての建築家の役割

このデメリット部分は建て主にとってはハードルが高く簡単なことではありません。

そこで建て主に代わってサポートするのがCMr(コンストラクチャーマネジャー)の業務です。これを小規模建築の場合、建築家が通常業務の設計及び設計監理とは別で行うことで分離分離発注方式がより実行性の高いものになります。これをCM分離発注と呼んでいます。

もちろんCMrの業務を建築家に依頼するとその業務費がかかりますが、一括請負で支払われる経費や利益と比べる半分以下のため、十分にメリットのある方法です。

リスク対策としての建築補償制度

建築中のリスクに対しては、実際に災害や事故が起こった場合、その費用が高額となるため、保険制度に加入することが最善です。

しかし分離発注方式の場合、一括請負業者が加入する保険制度を、建て主が加入することはできないことが一般的のため、樋口章建築アトリエが加盟する「イエヒト」の建築補償制度を利用し、一括発注方式と同等、部分的にはそれ以上の補償を受けることが可能となります。

樋口章建築アトリエのCM分離発注方式への取り組み

建築の設計の仕事を初めて20年以上になり、その間、常に建て主の予算と希望と、そのギャップや、現場での非建築行為に使われるコストの多さに苦しんできました。

もっとストレートに予算を建築につぎ込み、できるだけ建て主の希望に近づける方法として、CM分離発注方式という選択肢が、もっと身近なものにあってもいいのではないか、という思いから、始めるきっかけになりました。

また、すべての住宅で採用していいるわけではありません。一括請負の設計監理業務も行っております。

この方法は建て主によって、向き不向きがあり、建築の設計内容や敷地の条件、工期によっても、向き不向きがあります。 部分的に分離する方法がいい場合もあります。 まずはしっかりと検討し判断をすることにしています。

お問い合わせ頂ければ詳しくはご説明させていただきます。

また、CM分離発注方式をわかりやすく説明したマンガ冊子を用意しております。
ご希望の方は資料請求と合わせてお申し込みください。

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